アレルギーとは、本来無害な物質(アレルゲン)に対して免疫系が過剰に反応することで起こる疾患群です。WHO(世界保健機関)の推定によると、世界人口の10〜30%が何らかのアレルギー疾患を有しており、先進国ではその割合が増加傾向にあります。アレルギーは呼吸器、皮膚、消化器、眼など様々な臓器に症状を呈し、生活の質に大きな影響を与える重要な健康課題となっています。
アレルギー疾患の分類には複数の方法があります。WHOの国際疾病分類(ICD)では、アレルギー性疾患は呼吸器系、皮膚系、外因性の傷害・中毒など複数の章に分散して分類されています。一方、臨床的にはゲル・クームス分類に基づき、I型(即時型)からIV型(遅延型)の免疫反応タイプに分ける方法が用いられます。I型アレルギーはIgE抗体が関与し、花粉症、食物アレルギー、喘息など多くのアレルギー疾患がこのタイプに該当します。
主なアレルギーの種類には、呼吸器アレルギー(花粉症、アレルギー性喘息)、皮膚アレルギー(アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、蕁麻疹)、食物アレルギー、薬物アレルギー、昆虫アレルギー、ラテックスアレルギー、カビアレルギー、眼アレルギーなどがあります。これらの中でも最も重篤なのがアナフィラキシーで、全身性の急激なアレルギー反応により血圧低下や呼吸困難を引き起こし、適切な処置を取らないと命に関わる可能性があります。
日本では食物アレルギーの表示制度があり、特定原材料8品目(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生、くるみ)については食品に含有する場合に表示が義務付けられています。また、花粉症は国民病とも言われ、スギ花粉症患者は約3,000万人に達すると推定されています。アレルギーの治療には、アレルゲン回避、薬物療法(抗ヒスタミン薬、ステロイド、ロイコトリエン拮抗薬など)、そして原因療法として免疫療法(減感作療法)があります。適切な診断と管理により、多くのアレルギー疾患はコントロール可能であり、QOLを維持しながら日常生活を送ることができます。