クラウドデプロイメントモデルは、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)のSP 800-145で定義された、クラウドインフラストラクチャの運用形態とアクセス方法を分類する枠組みです。パブリッククラウド、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、ハイブリッドクラウドの4つの基本モデルと、近年広く普及しているマルチクラウドという派生モデルがあります。
各モデルは、インフラストラクチャの所有者、利用者の範囲、運用方法の違いによって分類されます。パブリッククラウドはAWSやAzureなどのプロバイダーが運用し複数顧客で共有する形態であり、コスト効率とスケーラビリティに優れています。一方、プライベートクラウドは単一組織専用のインフラであり、セキュリティとカスタマイズ性が高い一方でコストも高くなります。ハイブリッドクラウドはこれらを組み合わせ、機密データはプライベート側に、拡張性が必要なワークロードはパブリック側に配置することで、セキュリティと柔軟性のバランスを実現します。
モデルの選定は、組織のセキュリティ要件、コスト構造、コンプライアンス要件、既存システムとの統合必要性など、多面的な観点から行う必要があります。スタートアップや変動性の高いワークロードにはパブリッククラウドが、機密データを扱う金融や医療機関にはプライベートクラウドまたはハイブリッドクラウドが適しています。また、ベンダーロックインを回避し複数のベストサービスを組み合わせたい場合はマルチクラウド戦略が有効です。
2025年現在、企業の89%がマルチクラウド戦略を採用し、75%がハイブリッドおよびマルチクラウド戦略を導入していると報告されています。クラウド市場は1.3兆ドル規模に達する見込みであり、適切なデプロイメントモデルの選択は企業のIT戦略においてますます重要になっています。