世界各国の消費税制度には大きな違いがあります。欧州では付加価値税(VAT)が主流で、標準税率はハンガリーの27%からルクセンブルクの17%まで幅広く分布しています。一方、アジアやオセアニアでは物品サービス税(GST)を採用する国も多く、比較的低い税率で運用されているケースが見られます。
欧州連合(EU)加盟国の標準VAT税率の平均は約21.6%です。北欧諸国を中心に高福祉高負担の体制を採用する国では25%前後の高い税率が設定されており、その分、充実した社会保障制度や無料の教育・医療サービスが提供されています。対照的に、スイスやルクセンブルクなどの国では17%以下の比較的低い税率を維持しています。
日本の消費税率は10%(軽減税率8%)で、OECD加盟国の平均(約19%)を大きく下回っています。2019年に8%から10%へ引き上げられたものの、先進国の中では依然として低い部類に位置づけられます。軽減税率制度は食品や新聞などに適用され、生活必需品への負担軽減を図っています。
北米の状況は他の地域とは大きく異なります。アメリカには連邦政府による消費税が存在せず、州単位の売上税(Sales Tax)が課されています。州により税率は0%から約12%まで幅があり、複雑な税制となっています。カナダも連邦GST5%に州税が上乗せされる仕組みで、州により合計5%から15%まで異なります。アジアではシンガポールが2024年に8%から9%へ引き上げ、それでも世界有数の低税率を維持しています。オーストラリアとニュージーランドはそれぞれ10%と15%のGSTを採用し、比較的シンプルな単一税率制度を運用しています。
消費税の国際比較を通じて、各国の経済政策や社会福祉制度の違いを読み解くことができます。高税率国は社会保障の充実と引き換えに、低税率国は企業の国際競争力や個人の消費喚起を重視している傾向が見られます。