DOI(Digital Object Identifier)は、デジタル環境におけるコンテンツオブジェクトを永続的に識別するための国際標準システムです。1998年に国際DOI財団(International DOI Foundation)によって設立され、現在はISO 26324として国際標準化されています。学術論文、研究データ、書籍、映像コンテンツなど、あらゆるデジタルオブジェクトの識別とアクセスを可能にしています。
DOIの最大の特徴は、URLが変更されても識別子自体は不変であるという永続性にあります。従来のURLはリンク先のページが移動や削除により失われると、アクセスできなくなる「リンク切れ」の問題がありました。しかしDOIは、メタデータ内のURL情報を更新することで、常に最新のコンテンツ所在地を指し示すことができます。この仕組みにより、長期的なデジタルアーカイブの実現と、研究の再現性・信頼性の向上に貢献しています。
DOIの構造はプレフィックスとサフィックスの2つから構成されています。プレフィックスは常に「10.」で始まり、登録機関(Registration Agency)によって割り当てられた組織コードが続きます。サフィックスは登録者が自由に設定できる識別子で、組織内でのコンテンツ管理に使用されます。たとえば「10.1103/PhysRevLett.116.061102」というDOIでは、「10.1103」がAmerican Physical Societyのプレフィックス、「PhysRevLett.116.061102」が特定の論文を示すサフィックスとなっています。
現在、DOIシステムは11の登録機関(Registration Agency)によって運営されています。学術出版分野ではCrossrefが、研究データ分野ではDataCiteが主要な役割を果たしており、それぞれのコミュニティに特化したサービスを提供しています。日本ではJST(科学技術振興機構)がDataCiteのメンバーとして、国内の研究データのDOI登録を支援しています。2025年12月には、DOIの解決リクエストが月間30億件を突破し、世界中で毎秒1000件以上のDOIが解決されていることから、その重要性と普及の広がりが伺えます。