ホルモンは内分泌腺から分泌され、血液中を流れて全身の標的器官に作用する化学物質です。日本内分泌学会によると、現在人体内で100種類以上のホルモンまたはホルモン様物質が確認されており、これからも新たな種類が発見されると考えられています。ホルモンは非常に微量で効果を発揮し、50メートルプールいっぱいの水にスプーン一杯分の濃度で働くと言われています。
ホルモンは化学的構造によりペプチドホルモン、ステロイドホルモン、アミンホルモンの3つに大別されます。ペプチドホルモンにはインスリンや成長ホルモン、ステロイドホルモンには副腎皮質ホルモンや性ホルモン、アミンホルモンには甲状腺ホルモンやアドレナリンが含まれます。それぞれの構造により作用メカニズムや標的器官が異なり、複雑なネットワークを形成しています。
代表的なホルモンとして、血糖値を調節するインスリンとグルカゴン、全身の新陳代謝を司る甲状腺ホルモン、緊急時に分泌されるアドレナリン、成長を促進する成長ホルモンなどが挙げられます。これらのホルモンは神経系、免疫系と連携し、体温や血圧、血糖値などを一定に保つホメオスタシスの維持に寄与しています。
ホルモンの異常は様々な内分泌疾患を引き起こします。インスリンの分泌不足や作用不全が糖尿病、甲状腺ホルモンの過剰分泌がバセドウ病、副腎皮質ホルモンの異常がクッシング症候群やアディソン病となります。ホルモンは多すぎても少なすぎても正常な機能が損なわれるため、血液中で狭い範囲内に保たれるよう精巧なフィードバック機構が働いています。
近年では、心臓や血管、脂肪組織からもホルモンが分泌されることが明らかになり、ホルモンの概念はさらに広がっています。内分泌学の研究は、生活習慣病の予防や治療、老化の抑制など、幅広い医療分野に貢献しています。