概要

ホルモンの種類

ホルモンは内分泌腺から分泌され、血液中を介して標的器官に作用する化学物質です。ペプチドホルモン、ステロイドホルモン、アミンホルモンの3大分類があり、インスリン、甲状腺ホルモン、アドレナリンなど100種類以上が存在します。それぞれが新陳代謝、成長、生殖、ストレス対応など生命維持に不可欠な機能を担っています。

内分泌系 ホルモン インスリン 甲状腺ホルモン アドレナリン 生理学 医療
コード スラッグ 名称 概要 カテゴリ mainFunction secretionGland targetOrgan
01 insulin インスリン 膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるペプチドホルモン。 ペプチドホルモン 血糖値低下、糖の細胞取り込み促進、グリコーゲン合成促進 膵臓(ランゲルハンス島β細胞) 肝臓、骨格筋、脂肪組織
02 glucagon グルカゴン 膵臓のランゲルハンス島α細胞から分泌されるペプチドホルモン。 ペプチドホルモン 血糖値上昇、グリコーゲン分解促進、糖新生促進 膵臓(ランゲルハンス島α細胞) 肝臓
03 thyroid-hormone 甲状腺ホルモン 甲状腺から分泌されるアミンホルモン。チロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)がある。 アミンホルモン 新陳代謝促進、体温調節、成長発育、神経系の発達 甲状腺 全身の組織
04 adrenaline アドレナリン 副腎髄質から分泌されるアミンホルモン。ストレス時の闘争・逃走反応に関与。 アミンホルモン(カテコラミン) 心拍数増加、血圧上昇、血糖値上昇、気管支拡張 副腎髄質 心臓、血管、肺、肝臓
05 cortisol コルチゾール 副腎皮質から分泌されるステロイドホルモン。ストレスホルモンとして知られる。 ステロイドホルモン(糖質コルチコイド) 血糖値上昇、抗炎症作用、免疫抑制、ストレス対応 副腎皮質 肝臓、筋肉、脂肪組織、免疫細胞
06 growth-hormone 成長ホルモン 脳下垂体前葉から分泌されるペプチドホルモン。身長の成長に重要。 ペプチドホルモン 成長促進、タンパク質合成、脂肪分解、細胞増殖 脳下垂体前葉 骨、軟骨、肝臓、筋肉、脂肪組織
07 aldosterone アルドステロン 副腎皮質から分泌されるステロイドホルモン。電解質バランスの調節に重要。 ステロイドホルモン(鉱質コルチコイド) ナトリウム再吸収促進、カリウム排泄、血圧維持 副腎皮質(球状層) 腎臓(尿細管)
08 testosterone テストステロン 主に精巣から分泌される男性ホルモン(アンドロゲン)。 ステロイドホルモン(性ホルモン) 二次性徴発現、筋肉量維持、骨密度保持、精子形成 精巣(男性)、卵巣・副腎(女性) 生殖器、筋肉、骨、皮膚
09 estrogen エストロゲン 主に卵巣から分泌される女性ホルモン。 ステロイドホルモン(性ホルモン) 二次性徴発現、月経周期調節、骨密度保持、妊娠維持 卵巣(主に)、胎盤、副腎 子宮、乳腺、骨、皮膚、脳
10 progesterone プロゲステロン 卵巣の黄体から分泌される女性ホルモン。妊娠維持に重要。 ステロイドホルモン(性ホルモン) 子宮内膜分泌化、妊娠維持、基礎体温上昇 卵巣(黄体)、胎盤、副腎 子宮、乳腺、脳
11 oxytocin オキシトシン 脳下垂体後葉から分泌されるペプチドホルモン。愛のホルモンとも呼ばれる。 ペプチドホルモン 子宮収縮促進、乳汁排出、社会的絆形成 視床下部(産生)、脳下垂体後葉(分泌) 子宮、乳腺、脳
12 vasopressin バゾプレシン(抗利尿ホルモン) 脳下垂体後葉から分泌されるペプチドホルモン。尿量調節に重要。 ペプチドホルモン 尿濃縮、水分再吸収促進、血圧上昇 視床下部(産生)、脳下垂体後葉(分泌) 腎臓(集合管)、血管
13 melatonin メラトニン 松果体から分泌されるアミンホルモン。睡眠・覚醒リズムの調節に重要。 アミンホルモン 睡眠誘導、サーカディアンリズム調節、抗酸化作用 松果体 脳(視床下部)
14 parathyroid-hormone 副甲状腺ホルモン 副甲状腺から分泌されるペプチドホルモン。カルシウム代謝の調節に重要。 ペプチドホルモン 血漿カルシウム濃度上昇、骨吸促進、カルシウム再吸収促進 副甲状腺 骨、腎臓、腸
15 calcitonin カルシトニン 甲状腺のC細胞から分泌されるペプチドホルモン。カルシウム濃度調節に関与。 ペプチドホルモン 血漿カルシウム濃度低下、骨形成促進 甲状腺(C細胞) 骨、腎臓

ホルモンは内分泌腺から分泌され、血液中を流れて全身の標的器官に作用する化学物質です。日本内分泌学会によると、現在人体内で100種類以上のホルモンまたはホルモン様物質が確認されており、これからも新たな種類が発見されると考えられています。ホルモンは非常に微量で効果を発揮し、50メートルプールいっぱいの水にスプーン一杯分の濃度で働くと言われています。

ホルモンは化学的構造によりペプチドホルモン、ステロイドホルモン、アミンホルモンの3つに大別されます。ペプチドホルモンにはインスリンや成長ホルモン、ステロイドホルモンには副腎皮質ホルモンや性ホルモン、アミンホルモンには甲状腺ホルモンやアドレナリンが含まれます。それぞれの構造により作用メカニズムや標的器官が異なり、複雑なネットワークを形成しています。

代表的なホルモンとして、血糖値を調節するインスリンとグルカゴン、全身の新陳代謝を司る甲状腺ホルモン、緊急時に分泌されるアドレナリン、成長を促進する成長ホルモンなどが挙げられます。これらのホルモンは神経系、免疫系と連携し、体温や血圧、血糖値などを一定に保つホメオスタシスの維持に寄与しています。

ホルモンの異常は様々な内分泌疾患を引き起こします。インスリンの分泌不足や作用不全が糖尿病、甲状腺ホルモンの過剰分泌がバセドウ病、副腎皮質ホルモンの異常がクッシング症候群やアディソン病となります。ホルモンは多すぎても少なすぎても正常な機能が損なわれるため、血液中で狭い範囲内に保たれるよう精巧なフィードバック機構が働いています。

近年では、心臓や血管、脂肪組織からもホルモンが分泌されることが明らかになり、ホルモンの概念はさらに広がっています。内分泌学の研究は、生活習慣病の予防や治療、老化の抑制など、幅広い医療分野に貢献しています。