IANAタイムゾーンデータベース(tz database、Olson databaseとも呼ばれる)は、世界中の標準時間帯の履歴情報を収集・管理する公式データベースです。Internet Assigned Numbers Authority(IANA)が管理し、Paul Eggert氏を主任コーディネーターとして、ボランティアコミュニティによって継続的に更新されています。このデータベースは、1970年のUnixエポック以降の全ての民間時刻変更を記録し、政治的な境界変更、UTCオフセットの変更、夏時間規則の改定に対応しています。
データベースは、11の主要地域(Africa、America、Antarctica、Arctic、Asia、Atlantic、Australia、Europe、Indian、Pacific、Etc)に階層的に構造化されています。各タイムゾーンは「地域/場所」の形式(例:Asia/Tokyo、America/New_York)で識別され、通常はその地域で最も人口が多い、または代表的な都市名が使用されます。この命名規則は、国名や地域名よりも永続性が高い都市名を採用することで、将来の政治的変更に耐えうる設計となっています。
現在のバージョンは2025bで、約425から440のタイムゾーンが定義されています。データベースは年に複数回更新され、バージョン番号は年+アルファベット(2025a、2025b、2025cなど)で管理されます。更新内容はtzメーリングリストを通じて提案・議論され、BCP 175(RFC 6557)に定められた手順に従って管理されています。
このデータベースは、Unix/Linux、Windows、macOSなど事実上全てのオペレーティングシステムで使用されており、Python、JavaScript、Java、PHPなどの主要プログラミング言語の標準ライブラリに組み込まれています。グローバルなウェブアプリケーション、データベースシステム、IoTデバイス、金融システムなど、時刻を扱うあらゆるソフトウェアにとって必須の基盤です。開発者は、このデータベースを参照することで、世界中のユーザーに対して正確な現地時刻を提供し、夏時間の自動切り替えや歴史的な時刻変換を正確に処理することができます。