概要

IPアドレス範囲

IPアドレス範囲は、インターネット上でデバイスを識別するためのIPv4およびIPv6のアドレス空間の分類です。IANAがグローバルな管理を行い、RIRs(地域インターネットレジストリ)が各地域に割り当てます。クラスフルアドレッシング(Class A/B/C/D/E)、プライベートアドレス(RFC 1918)、特殊用途アドレス、IPv6の各種プレフィックスなどが定義されています。

IPアドレス IPv4 IPv6 IANA ネットワーク RFC 1918 プライベートアドレス サブネット
コード スラッグ 名称 概要 cidr range subnetMask type rfc
A ipv4-class-a IPv4 Class A 大規模ネットワーク向けのIPアドレスクラスです。 /8 0.0.0.0 - 127.255.255.255 255.0.0.0 classful
B ipv4-class-b IPv4 Class B 中規模ネットワーク向けのIPアドレスクラスです。 /16 128.0.0.0 - 191.255.255.255 255.255.0.0 classful
C ipv4-class-c IPv4 Class C 小規模ネットワーク向けのIPアドレスクラスです。 /24 192.0.0.0 - 223.255.255.255 255.255.255.0 classful
D ipv4-class-d IPv4 Class D(マルチキャスト) マルチキャスト通信用に予約されたIPアドレス範囲です。 /4 224.0.0.0 - 239.255.255.255 N/A multicast
E ipv4-class-e IPv4 Class E(予約) 実験用途のために予約されたIPアドレス範囲です。 /4 240.0.0.0 - 255.255.255.255 N/A reserved
PRIVATE-A rfc1918-class-a プライベートアドレス Class A RFC 1918で定義された大規模プライベートネットワーク用アドレス範囲です。 /8 10.0.0.0 - 10.255.255.255 255.0.0.0 private RFC 1918
PRIVATE-B rfc1918-class-b プライベートアドレス Class B RFC 1918で定義された中規模プライベートネットワーク用アドレス範囲です。 /12 172.16.0.0 - 172.31.255.255 255.240.0.0 private RFC 1918
PRIVATE-C rfc1918-class-c プライベートアドレス Class C RFC 1918で定義された小規模プライベートネットワーク用アドレス範囲です。 /16 192.168.0.0 - 192.168.255.255 255.255.0.0 private RFC 1918
LOOPBACK loopback-range ループバックアドレス 同一デバイス内での通信に使用される特殊アドレス範囲です。 /8 127.0.0.0 - 127.255.255.255 255.0.0.0 special
LINK-LOCAL link-local-range リンクローカルアドレス(APIPA) 自動設定されるローカルネットワーク専用アドレス範囲です。 /16 169.254.0.0 - 169.254.255.255 255.255.0.0 special
CGNAT carrier-grade-nat キャリアグレードNAT ISPによる大規模NAT用に予約されたアドレス範囲です。 /10 100.64.0.0 - 100.127.255.255 255.192.0.0 special RFC 6598
IPV6-GLOBAL ipv6-global-unicast IPv6 グローバルユニキャスト IPv6のインターネット上でルーティング可能なアドレス範囲です。 /3 2000:: - 3fff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff ipv6-unicast
IPV6-ULA ipv6-unique-local IPv6 ユニークローカル IPv6のプライベートネットワーク用アドレス範囲です。 /7 fc00:: - fdff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff ipv6-private RFC 4193
IPV6-LINK ipv6-link-local IPv6 リンクローカル IPv6の同一リンク内通信専用アドレス範囲です。 /10 fe80:: - febf:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff ipv6-linklocal
IPV6-MULTICAST ipv6-multicast IPv6 マルチキャスト IPv6のマルチキャスト通信用アドレス範囲です。 /8 ff00:: - ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff ipv6-multicast
IPV6-LOOPBACK ipv6-loopback IPv6 ループバック IPv6の同一デバイス内通信専用アドレスです。 /128 ::1 ipv6-special

IPアドレスはインターネット上の機器を識別するための重要な識別子であり、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)を頂点とした階層的な管理構造の下で運用されています。IPv4では32ビットのアドレス空間を持ち、約43億個のアドレスが存在しますが、インターネットの急激な普及により枯渇が進み、現在は厳格な管理が行われています。

アドレス空間の中には、特定の用途のために予約された範囲が存在します。RFC 1918で定義されたプライベートアドレス範囲(10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16)は、企業や家庭の内部ネットワークで広く使用されています。これらのアドレスはインターネット上ではルーティングされないため、NAT(Network Address Translation)技術と組み合わせることで、限られたグローバルIPアドレスを効率的に活用することが可能となっています。

IPv6では128ビットの巨大なアドレス空間を提供し、理論上は地球上の砂粒の数よりも多くのアドレスを割り当てることができます。fc00::/7のユニークローカルアドレスはIPv4のプライベートアドレスに相当し、fe80::/10のリンクローカルアドレスは同一リンク内での自動設定に使用されます。また、2000::/3のグローバルユニキャスト範囲から、各組織にグローバルに一意なアドレスが割り当てられ、エンドツーエンドの通信が実現されています。

特殊用途のアドレスとして、127.0.0.0/8のループバックアドレスは同一ホスト内の通信に、169.254.0.0/16のリンクローカルアドレスはDHCP取得失敗時の自動設定に使用されます。さらに、224.0.0.0/4(IPv4)やff00::/8(IPv6)のマルチキャスト範囲は、動画配信やネットワーク管理などの一対多通信に不可欠です。これらのアドレス範囲を適切に理解し活用することは、ネットワーク設計やトラブルシューティングの基礎となります。