概要

日本標準職業分類

日本標準職業分類は、昭和35年(1960年)に設定され、5回の改定を経て現行の平成21年(2009年)版に至る、総務省が定める統計基準です。大分類12、中分類74、小分類329の3階層で構成され、国勢調査や労働力調査などの統計調査における職業の分類に広く使用されています。職業を客観的かつ統一的に把握することで、雇用政策の立案や労働市場の分析に不可欠な基盤を提供しています。

総務省 職業分類 統計基準 労働市場 国勢調査
コード スラッグ 名称 概要
A administrative-and-managerial 管理的職業 経営や管理に従事する職業の分類です。
B professional-and-engineering 専門的・技術的職業 専門的・技術的知識や技能を必要とする職業の分類です。
C clerical 事務職業 事務作業に従事する職業の分類です。
D sales 販売職業 商品販売や営業に従事する職業の分類です。
E service サービス職業 生活関連サービスや個人的サービスに従事する職業の分類です。
F security 保安職業 保安や安全維持に従事する職業の分類です。
G agriculture-forestry-fishery 農林漁業 農業、林業、漁業作業に従事する職業の分類です。
H manufacturing-process 生産工程職業 製造業の生産工程に従事する職業の分類です。
I transport-and-machine-operation 輸送・機械運転職業 運輸や機械・器具の操作に従事する職業の分類です。
J carrying-cleaning-packaging 運搬・清掃・包装職業 運搬、清掃、包装作業に従事する職業の分類です。
K construction-mining 建設・採掘・製造職業 建設、採掘、製造作業に従事する職業の分類です。
L unclassifiable 分類不能の職業 上記のいずれの大分類にも属さない職業の分類です。

日本標準職業分類は、昭和35年(1960年)に総務省によって設定された、職業を体系的に分類するための統計基準です。この分類は、国勢調査や労働力調査をはじめとする各種統計調査において、職業情報を統一的かつ客観的に把握するための基盤として機能しています。5回の改定を経て、現行の平成21年(2009年)版では、大分類12、中分類74、小分類329の3階層構造で構成されています。

この分類体系は、労働市場の実態を正確に把握し、雇用政策や職業訓練施策を立案する上で欠かせないツールとなっています。例えば、どの職業分野で人材が不足しているか、あるいは過剰であるかを分析することで、効果的な労働力配置や人材育成の方針を決定することができます。また、産業構造の変化に伴う職業構成の推移を時系列で追跡することで、将来の労働市場の動向を予測する基礎データとしても活用されています。

日本標準職業分類の特徴は、職業を「行う仕事の類似性」に基づいて分類している点にあります。つまり、従事する産業や雇用形態ではなく、実際に行っている業務内容や必要とされる知識・技能に着目しています。この原則により、異なる産業に属していても同様の職務を遂行する場合は同じ職業として分類され、職業横断的な分析が可能になります。例えば、製造業の経理担当者もサービス業の経理担当者も、共に事務職業として分類されます。

国際的には、国際労働機関(ILO)が策定した国際標準職業分類(ISCO)との対応関係も整理されており、国際比較統計の作成にも貢献しています。グローバル化が進む中で、各国の職業構造を比較分析する際の共通言語としての役割も果たしています。企業の人事管理や求人情報の整理、キャリア教育の場面でも、この分類体系を参照することで、職業に関する共通理解を促進することができます。

今後、技術革新や社会構造の変化に伴い、新たな職業が生まれ、既存の職業が変容していく中で、日本標準職業分類も継続的な見直しが求められています。デジタル技術の普及やAIの発展により、従来の職業概念では捉えきれない新しい働き方が登場しており、これらを適切に分類・把握することが、今後の労働市場政策を考える上で重要な課題となっています。