世界の海を流れる海流は、地球規模の気候システムにおいて極めて重要な役割を果たしています。赤道付近の温暖な海水が高緯度地域へ運ばれ、一方で極地の冷たい海水が低緯度地域へ流れることで、地球全体の熱バランスが保たれています。
海流は主に風の摩擦による駆動力と、海水の密度差(水温と塩分濃度)によって生じています。特に黒潮とメキシコ湾流は「西岸強化」という現象により世界最大級の規模となり、それぞれの大洋における時計回りの循環の主要な部分を占めています。これらの暖流は沿岸地域の気候を温暖にし、多くの場合、好漁場の形成にも寄与しています。
一方、親潮やペルー海流、ベンゲラ海流などの寒流は、栄養塩を豊富に含んだ冷たい海水を運びます。これらの海流はしばしば上昇流を伴い、海底の栄養分を表層へ引き上げるため、プランクトンが大量に発生し、優れた漁場となります。特にペルー沖はフンボルト海流(ペルー海流)による上昇流の影響で、世界有数の漁獲高を誇っています。
南極海流(西風漂流)は、南緯48度から65度付近を東向きに周回する世界最大の海流です。三大洋を横断する唯一の海流であり、流量は毎秒1億3千万トン以上と推定されています。この海流は南極周辺の海洋環境を隔絶し、独特の生態系を形成するとともに、地球規模の海洋循環において重要な役割を果たしています。
海流の変動は気候に大きな影響を与えます。エルニーニョ現象は、ペルー沖の東太平洋で海温が上昇し、通常の海流パターンが乱れることで発生します。これは世界中の気候に影響を及ぼし、異常気象を引き起こすことがあります。海流の理解は、気候変動の予測や漁業資源の管理において不可欠な要素となっています。