能は、室町時代の14世紀に確立された日本の伝統芸能で、継承されている演劇としては世界最古とされています。2001年には「能楽」としてユネスコ無形文化遺産に登録され、世界にその名を知られています。
現在、上演されている能の演目は約240曲とされています。これらの演目は、主演であるシテの役柄によって「五番立て」という5つのジャンルに分類されます。一番目物(神能)は神様を主人公とする祝言的な演目、二番目物(修羅物)は武将の亡霊を描く、三番目物(鬘物)は女性の幽玄な美を表現する、四番目物(雑能物)は物狂いなど劇的な演目、五番目物(切能物)は鬼や天狗をフィーチャーした華やかな演目となっています。
能の演目は多くが平安時代や鎌倉時代の古典文学、歴史、伝説を題材としており、観世流、宝生流、金春流、金刚流、喜多流の五流派によって受け継がれています。初心者には「高砂」「羽衣」「敦盛」などの比較的分かりやすい演目から入ることをおすすめします。
五番立てという分類は、江戸時代から続く伝統的な形式ですが、現代では一日の公演で五番立てを全て上演することは稀です。それでも、この分類法は能の世界を理解する上で重要な指針となっています。それぞれの演目が持つ独特の雰囲気や美学を味わいながら、日本の伝統文化の深みを体感してください。