ORCID (Open Researcher and Contributor ID) は、研究者および貢献者を一意に識別し、その業績と所属を透明かつ信頼できる形で結びつけるための国際的な非営利システムです。2012年の設立以来、研究コミュニティにおける識別と帰属の標準として広く普及しており、2025年時点で世界69カ国以上から1,050万人以上のアクティブユーザーが利用しています。
ORCID識別子は16桁の数字からなり、ISO 27729(国際標準名前識別子、ISNI)標準と互換性があります。識別子はランダムに割り当てられ、個人情報や所属機関、研究分野などの情報は含まれていません。この設計により、名前の変更、所属機関の移動、研究分野の変更、国の移動などに関わらず、生涯を通じて同じ識別子が使用され、研究者の業績を一貫して追跡することができます。識別子の最後の文字はISO/IEC 7064:2003 MOD 11-2規格に従って計算されたチェックサムで、0から9またはX(値10を表す)のいずれかとなります。
研究者にとってORCID iDの主な利点は、類似した名前を持つ他の研究者と区別され、論文やデータセットなどの業績が正確に帰属されることです。また、助成金申請や論文投稿時にプロフィール情報が自動的に入力されるため、同じ情報を繰り返し入力する手間が省けます。さらに、Springer、Elsevier、Wileyなどの主要な学術出版社や資金提供機関がORCIDを採用しており、研究業績の可視性と発見可能性が向上します。
ORCIDは非営利組織として運営され、1,500以上の機関が加盟しています。研究者は無料でORCID iDを登録でき、自分のレコードデータのプライバシー設定を完全に制御できます。公開、非公開、信頼できる機関のみの3つのプライバシーレベルから選択でき、研究者自身がどの情報を誰と共有するかを決定できます。ORCIDは「オープン」「信頼」「包括的」の3つのコアバリューを掲げ、研究インフラストラクチャの重要な構成要素として、透明で信頼できる学術環境の実現に貢献しています。