放射性同位体(放射性核種)は、原子核内の陽子と中性子のバランスが不安定なため、放射線を放出しながらより安定な状態へと変化する同位体です。この崩壊過程でアルファ線、ベータ線、ガンマ線などが放出され、周囲の物質に影響を与えます。半減期とは、放射性物質の量が初期状態の半分になるまでに必要な時間を指し、各同位体に固有の定数です。
半減期の範囲は極めて広く、テルル-128の約2.2×10²⁴年(宇宙の年齢の約160兆倍)から、オガネソン-294の約0.89ミリ秒まで、24桁以上にもわたる差があります。この多様性により、放射性同位体は様々な応用分野で利用されています。半減期が長いものは地球の年代測定や地質学研究に、短いものは核医学での診断や治療に適しています。
医学分野では、テクネチウム-99m(半減期6.01時間)が最も広く使用される診断用放射性同位体であり、骨、心臓、甲状腺など様々な臓器のシンチグラフィー検査に利用されます。フッ素-18(半減期約110分)はPET検査に使用され、がんの早期発見や脳機能評価に貢献しています。治療用にはヨウ素-131(半減期8.04日)が甲状腺がんや甲状腺機能亢進症の治療に、ルテチウム-177(半減期6.65日)が神経内分泌腫瘍の治療に使用されます。
環境科学と考古学では、炭素-14(半減期5730年)による放射性炭素年代測定法が最も有名です。生物が生きている間は大気中の炭素-14を取り込み続けますが、死後は取り込みが停止し、半減期に基づいて年代測定が可能になります。これにより、考古学的遺跡や化石の年代決定が行われています。また、カリウム-40(半減期12.6億年)を用いたカリウム-アルゴン年代測定法は、火山岩や隕石の年代測定に不可欠です。
原子力エネルギー分野では、ウラン-235(半減期7.04億年)とプルトニウム-239(半減期2.41万年)が核分裂反応の燃料として使用されます。一方で、セシウム-137(半減期30.17年)やストロンチウム-90(半減期28.8年)などの核分裂生成物は、原子力事故時の環境汚染や健康影響が懸念される長寿命核種です。トリチウム(半減期12.3年)は核融合炉の燃料候補として研究が進められており、将来のクリーンエネルギー源として期待されています。