RxNormは、米国国立医学図書館(National Library of Medicine: NLM)が開発・維持管理する臨床医薬品の標準化された命名システムです。医療現場で使用される様々な薬剤用語集間の相互運用性を実現するため、有効成分、規格、剤形に基づいた正規化された名前を提供しています。
RxNormの最大の特徴は、First Databank、Micromedex、Multum、Gold Standard Drug Databaseなど、主要な医薬品データベースと連携し、異なるシステム間で薬剤情報を正確に交換できる点にあります。この統一的な標準規格により、医療機関や薬局、保険会社などが使用する異なるソフトウェア間でも、薬剤データの整合性を保つことが可能となっています。
RxNormでは、薬剤を様々な抽象度レベルで表現するための概念タイプ(Term Type: TTY)が定義されています。最も基本的な「有効成分(IN)」から、規格や剤形を組み合わせた「意味的臨床薬剤(SCD)」、さらにブランド名を含む「意味的ブランド薬剤(SBD)」まで、15種類の概念タイプが用意されています。これにより、臨床現場のニーズに応じた適切な粒度で薬剤情報を記述できます。
RxNormは米国連邦政府システムでの標準規格として採用されており、Meaningful UseインセンティブプログラムやCMS Formulary Reference File、NCPDP SCRIPT電子処方箋標準などで必須の規格となっています。月次の完全リリースと週次の更新により、新薬や規格変更にも迅速に対応し、約12万件の概念をカバーしています。
RxNormに付与される一意の識別子であるRxCUI(RxNorm Concept Unique Identifier)は、特定の薬剤概念を正確に参照するための重要なキーとなります。例えば「イブプロフェン200mg経口錠」には「310965」というRxCUIが割り当てられており、これを用いることで異なるシステム間で同じ薬剤を確実に特定することができます。