概要

性感染症

性感染症(STI)は、性行為を主な感染経路とする感染症の総称です。日本では梅毒、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマの5疾病について感染症発生動向調査が実施されています。近年、特に梅毒の報告数が急増しており、2023年には14,906例と過去最高を記録しました。多くの性感染症は早期発見・適切な治療により治癒可能ですが、放置すると不妊症や重篤な合併症を引き起こす可能性があります。

性感染症 梅毒 淋病 クラミジア ヘルペス HIV 感染症 性行為 予防 検査
コード スラッグ 名称 概要 curable pathogen treatment
01 hiv-aids HIV感染症・エイズ ヒト免疫不全ウイルスによる感染症で、免疫機能が低下する病態です。 false ヒト免疫不全ウイルス(HIV) 抗レトロウイルス薬による治療(完治は困難だがコントロール可能)
02 syphilis 梅毒 梅毒トレポネーマによる感染症で、性器や口にしこりや潰瘍ができる病気です。 true 梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum) ペニシリン系などの抗菌薬で治癒可能
03 gonorrhea 淋菌感染症(淋病) 淋菌による感染症で、排尿時の痛みや膿性分泌物が特徴です。 true 淋菌(Neisseria gonorrhoeae) 抗菌薬で治癒可能(耐性菌に注意)
04 chlamydia 性器クラミジア感染症 クラミジアによる感染症で、日本で最も報告数の多い性感染症です。 true クラミジア(Chlamydia trachomatis) 抗菌薬で治癒可能
05 genital-herpes 性器ヘルペスウイルス感染症 ヘルペスウイルスによる感染症で、性器に水ぶくれや潰瘍ができ、再発を繰り返します。 false 単純ヘルペスウイルス(HSV-1, HSV-2) 抗ウイルス薬による対症療法(完治は困難)
06 condyloma-acuminatum 尖圭コンジローマ ヒトパピローマウイルス(HPV)感染による、性器や肛門周囲にできるイボ状の病変です。 true ヒトパピロマウイルス(HPV) 外用薬、凍結療法、レーザー治療、手術など
07 trichomoniasis トリコモナス症 トリコモナス原虫による感染症で、黄緑色の泡状の分泌物が特徴です。 true トリコモナス・ヴァギナリス(Trichomonas vaginalis) 抗菌薬(メトロニダゾールなど)で治癒可能
08 hepatitis-b B型肝炎 B型肝炎ウイルスによる感染症で、血液や性行為を介して感染します。 false B型肝炎ウイルス(HBV) 抗ウイルス薬による治療(ワクチンで予防可能)
09 hepatitis-c C型肝炎 C型肝炎ウイルスによる感染症で、主に血液を介して感染します。 true C型肝炎ウイルス(HCV) 直接作用型抗ウイルス薬(DAA)で約95%が治癒可能
10 mycoplasma-genitalium マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症 マイコプラズマ・ジェニタリウムによる感染症で、尿道炎や子宮頸炎を引き起こします。 true マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium) 抗菌薬で治癒可能(耐性菌に注意)

性感染症とは、性行為を主な感染経路とする感染症の総称です。日本では梅毒、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマの5疾病について感染症発生動向調査が実施されており、厚生労働省と国立感染症研究所が発生状況を監視しています。

近年、日本では特に梅毒の報告数が急増しており、社会問題となっています。2023年には14,906例と過去最高を記録し、2011年頃からの増加傾向が続いています。男性は20代から50代にかけて広く分布し、女性は20代で特に高い報告数が見られます。梅毒の増加は、オーラルセックスのリスク認識の低さや、パートナー変更の多様化などが背景にあると考えられています。

性感染症の多くは、早期発見と適切な治療により治癒可能です。淋病やクラミジア、梅毒などの細菌性感染症は抗菌薬で治癒し、トリコモナス症も原虫駆除薬で治療できます。一方で、HIVやヘルペス、B型肝炎などのウイルス性感染症は完治は困難ですが、適切な治療により症状をコントロールし、健康な生活を送ることが可能です。

性感染症の予防には、安定したパートナーとの関係(ステディセックス)や、コンドームの適切な使用(セーファーセックス)が有効です。特にコンドームは多くの性感染症の感染リスクを大幅に減らすことができますが、覆わない部位からの感染は防げないため、100%の予防効果があるわけではありません。不安がある場合は、早期に検査を受けることが重要です。保健所や医療機関で匿名で検査を受けることができ、早期発見により自分だけでなくパートナーの健康も守ることができます。