ユネスコ無形文化遺産は、2003年に採択された「無形文化遺産の保護に関する条約」に基づいて運営されている国際的な文化遺産保護制度です。2006年に発効したこの条約は、伝統的な祭り、音楽、舞踊、工芸技術、口承表現など、世代から世代へと継承される無形の文化資産を保護することを目的としています。180以上の締約国が参加し、世界各地の多様な文化遺産を登録・保護しています。
無形文化遺産の登録は、代表一覧表、緊急保護が必要な無形文化遺産一覧表、優れた保護実践の記録の3つのリストによって行われます。代表一覧表には人類の無形文化遺産の中で特に代表的なものが登録され、緊急保護一覧表には存続が危機に瀕している遺産が登録されます。優れた保護実践の記録には、他の国や地域にとって参考となる保護プログラムやプロジェクトが登録されます。2026年時点で、代表一覧表には700件以上の要素が登録されています。
各国の登録状況は大きく異なり、中国は40件以上を登録しており書道、切り紙、端午節、京劇などが含まれています。日本も20件以上を登録しており、歌舞伎、和紙の製法、アイヌの舞、雅楽などが登録されています。韓国、フランス、インド、トルコなども多くの遺産を登録しており、それぞれの国の豊かな伝統文化が国際的に認められています。これらの登録は、文化の多様性の尊重と持続可能な開発への貢献を目指しています。
無形文化遺産の保護は、単なる記録や保存にとどまりません。コミュニティ、グループ、個人の主体的な参加を重視し、生きた文化として継承されることを目指しています。ユネスコは締約国に対して、無形文化遺産の特定、記録、研究、保存、保護、普及、継承のための措置を講じるよう支援しています。また、国際協力と相互援助を促進し、開発途上国の保護能力向上にも取り組んでいます。