世界の食糧問題は、21世紀最大の課題の一つとして国際社会の注目を集めています。FAO(国連食糧農業機関)を中心とした国際機関は、食糧問題の理解と対策のため、様々な専門用語を定義し、統一的な測定指標を開発してきました。これらの用語は、政策立案者、研究者、開発実践者にとって不可欠な共通言語となっています。
食糧安全保障は、単に「食べ物があるか」という問題だけではありません。FAOの定義では、すべての人が「活動的で健康的な生活を送るために必要とする食事や食の嗜好を満たす、十分で安全かつ栄養のある食料」を「物理的、社会的、経済的に入手できる状況」が求められます。この定義には、食料の利用可能性、アクセス可能性、適切な利用、そして安定性という4つの柱が含まれています。
2025年の最新データは、世界の食糧問題が依然として深刻であることを示しています。FAOの『2025年世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)』報告によると、2024年の栄養不足人口は6億7,300万人と推定され、前年より1,500万人減少したものの、コロナ禍前の2019年よりも多い水準が続いています。特にアフリカでは飢餓人口率が20%を突破し、3億700万人が栄養不足に苦しんでいます。一方でアジアやラテンアメリカ・カリブ地域では改善傾向が見られ、世界の食糧問題には大きな地域格差が存在します。
フードロスとフードウェイストは、食糧問題の解決に向けた重要な焦点となっています。FAOの定義では、フードロスは生産から小売までのサプライチェーンで発生する損失を指し、フードウェイストは小売と消費段階での廃棄を指します。世界で生産される食料の約3分の1がロスまたは廃棄されていると推定されており、これらを削減することは、飢餓撲滅と環境保護の両面で重要な意味を持ちます。SDG12.3では、2030年までに小売・消費段階での食品廃棄を半減し、生産・サプライチェーンでの食品ロスを減少させる目標が掲げられています。
食糧自給率は、各国の食料安全保障を評価する重要な指標ですが、その解釈には注意が必要です。FAOは、特定の品目に偏った自給が他の品目の不足を隠蔽する可能性があるため、多角的な評価が必要だと指摘しています。日本のカロリーベース食糧自給率は38%程度と先進国の中で低い水準にあり、食料の安定供給と生産基盤の強化が課題となっています。