日本では1961年に「国民皆保険制度」が実施され、すべての国民がいずれかの公的医療保険に加入することが義務付けられています。この制度は、病気や怪我で医療機関を受診した際に、医療費の一部を自己負担し、残りを保険が負担する仕組みです。現在、日本の健康保険は大きく3つのカテゴリーに分類され、それぞれ異なる運営主体や加入対象者、保険料負担方式が定められています。
被用者保険は、企業や官公庁に勤める人とその家族が加入する保険で、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合の3種類があります。協会けんぽは中小企業の従業員を対象とし、全国健康保険協会が運営しています。健康保険組合は大企業の従業員を対象とし、企業単位または業界単位で設立されています。共済組合は公務員や私立学校教職員を対象とし、健康保険組合の「公務員版」として位置づけられています。いずれも保険料は事業主と被保険者が折半し、扶養家族を無料で追加できる扶養制度が設けられています。
国民健康保険は自営業者、フリーランス、無職者などが加入する地域ベースの保険です。市区町村が運営し、保険料は前年の所得と家族人数に応じて計算されます。被用者保険との最大の違いは扶養制度がないことで、家族全員が個別に被保険者として加入し、保険料が発生します。2025年度から保険料の上限額が106万円から109万円に引き上げられました。
後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者と、一定の障害がある65歳以上の人を対象とした制度です。自己負担割合は原則1割で、他の保険よりも軽減されています。ただし、医療費の高騰が課題となっており、2025年度の給付費は17.2兆円と過去最高を記録しています。2026年8月には高額療養費制度の見直しが予定され、持続可能な制度運営が求められています。
各保険の選択は、基本的に職業や年齢によって決定されますが、退職後などは任意継続被保険者制度や国民健康保険への切り替えなど、選択肢が生じる場合があります。扶養家族の有無や収入状況を考慮して、最適な選択を行うことが重要です。