日本の国宝・重要文化財制度は、1950年に制定された文化財保護法に基づいて運営されています。この法律は、1929年の国宝保存法、1933年の重要美術品保存法などを統合し、日本初の包括的な文化財保護法として誕生しました。文化財保護法のもと、文部科学大臣が指定する有形文化財のうち、歴史的・芸術的・学術的価値の高いものが重要文化財に、その中でも世界文化的視点から極めて価値が高く類を見ないものが国宝に指定されます。
国宝と重要文化財の違いは、主に価値の程度と指定の厳しさにあります。重要文化財は日本国内において重要な価値を持つ文化財として位置づけられ、令和8年1月現在、建造物は2,605件(5,597棟)、美術工芸品は10,952件に達します。一方、国宝は重要文化財の中からさらに厳選されたもので、世界文化的視点から極めて価値が高いと認められるもののみが指定されます。国宝は建造物が233件(303棟)、美術工芸品が916件の合計1,149件にとどまり、その稀少性と価値の高さがうかがえます。
建造物の分類では、近世以前の建造物と近代建造物に大別されます。近世以前の建造物は、神社、寺院、城郭、住宅、民家などのカテゴリに分かれ、国宝の約9割が宗教建築(神社と寺院)を占めています。特に寺院建築は国宝158件と最も多く、法隆寺金堂をはじめとする世界最古の木造建築群が含まれています。近代建造物は明治時代以降の建築で、2025年には琵琶湖疏水施設が近代土木構造物として初めて国宝に指定されるなど、指定の対象は多様化しています。
美術工芸品は絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料、歴史資料の7分類に分かれています。工芸品が254件と最も多く、次いで書跡・典籍236件、絵画167件、彫刻142件の順となっています。これらの作品は、国立博物館や寺院、神社などに所蔵され、日本美術の最高峰を示す重要な文化遺産として後世に伝えられています。