漢方薬は、古代中国医学を起源とし、5世紀から6世紀頃に日本へ伝来した伝統医学です。日本の風土や文化に適応し、日本人の体質に合わせて洗練されてきた独自の医学体系であり、西洋医学と区別するために「漢方」という言葉が生まれました。17世紀に大きな発展期を迎え、現在の形に整備されました。
現在、日本の医療現場では漢方薬が広く使用されています。2010年の調査では、処方医師の割合は86.3%に達しており、西洋医学の限界に対応するためや、科学的根拠の蓄積を理由に使用されることが多いです。特に大建中湯、六君子湯、抑肝散などは、科学的根拠の蓄積により使用が急増しています。
漢方薬の処方は、主に医療用と一般用の2つに分類されます。医療用漢方製剤としては148処方が国民健康保険に適用されており、医師の処方により薬局で調剤されます。一方、一般用漢方製剤としては294処方が承認されており、ドラッグストアなどで市販されています。このうち144処方は医療用と一般用の両方で承認されており、多くの処方が患者のニーズに応じて使い分けられています。
漢方薬の特徴は、複数の生薬を組み合わせた「処方」による治療です。代表的な処方には、感冒初期に使用される葛根湯、胃腸機能を改善する六君子湯、貧血や冷え性に効く当帰芍薬散、神経症や不眠症に使用される抑肝散などがあります。これらの処方は、患者の体質や症状に合わせて選択され、西洋医学とは異なる「証(しょう)」という診断に基づいて用いられます。
剤型も多様で、伝統的な煎じ薬のほか、現代ではエキス製剤(顆粒、細粒、錠剤)が最も一般的です。粉末(散)や丸剤もあり、患者のライフスタイルや症状に応じて選択できます。津村株式会社をはじめとする製薬企業により、品質管理された製剤が供給されており、現代の医療現場に適合した形で伝統医学が継承されています。