概要

LOINC(論理的観測識別子名称・コード)

LOINC(Logical Observation Identifiers Names and Codes)は、臨床検査や医療観察データを識別するための国際標準コードシステムです。1994年に米国Regenstrief Instituteによって開発され、現在では172カ国以上で使用され、15カ国以上で国家標準として採用されています。LOINCはLaboratory LOINC(検体検査)とClinical LOINC(臨床観察)の2大分類からなり、検査項目をComponent(成分)、Property(特性)、Time(時間)、System(検体)、Scale(尺度)、Method(方法)の6軸で構成することで、世界中の医療機関間でデータを正確に交換できるように設計されています。

LOINC 臨床検査 医療情報標準 HL7 FHIR 検査コード 医療データ交換 Regenstrief Institute
コード スラッグ 名称 概要 カテゴリ
CHEM chemistry 化学検査 電解質、酵素、ホルモン、代謝物質、タンパク質、脂質、治療薬物モニタリングなどの臨床化学検査です。 Laboratory
HEM/BC hematology-blood-counts 血液学・血算 血球計算、凝固検査、血球形態、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数などの血液学検査です。 Laboratory
MICRO microbiology 微生物学検査 細菌培養、ウイルス検査、真菌培養、寄生虫検査、細菌同定、薬剤感受性試験などの微生物学検査です。 Laboratory
SERO serology 血清学検査 抗体検出検査、免疫学的アッセイ、ウイルス血清学(HIV、肝炎など)などの血清学検査です。 Laboratory
UA urinalysis 尿検査 尿化学、尿沈渣鏡検、尿培養などの尿検査です。 Laboratory
DRUG/TOX drug-toxicology 薬物・毒物学検査 薬物スクリーニング、毒物パネル、薬物乱用検査などの薬物・毒物学検査です。 Laboratory
ABXBACT antibiotic-susceptibility 抗菌薬感受性検査 細菌に対する抗菌薬感受性試験です。 Laboratory
CELLMARKER cell-markers 細胞マーカー 細胞表面マーカー、フローサイトメトリー、免疫表現型検査です。 Laboratory
MOLPATH molecular-pathology 分子病理学 遺伝子変異、遺伝子増幅、染色体転座などの分子遺伝学検査です。 Laboratory
VITALS vital-signs バイタルサイン 体温、血圧、脈拍、呼吸数などの生命徴候です。 Clinical
EKG electrocardiogram 心電図 心電図検査による心臓の電気的活動の記録です。 Clinical
IMAGING imaging-studies 画像検査 X線、CT、MRI、超音波などの画像診断検査です。 Clinical
SURVEY survey-instruments 調査票・評価尺度 Glasgow Coma Scale、PHQ-9、生活機能評価などの標準化された評価尺度です。 Clinical
DOC clinical-documents 臨床文書 退院サマリー、診療記録、病理報告書などの医療文書です。 Clinical

LOINC(Logical Observation Identifiers Names and Codes、論理的観測識別子名称・コード)は、臨床検査や医療観察データを識別するための国際標準コードシステムです。1994年に米国インディアナ大学のRegenstrief Instituteによって開発され、現在では172カ国以上で使用され、15カ国以上で国家標準として採用されています。

LOINCの最大の特徴は、検査項目を6つの軸(Component成分、Property特性、Time時間、System検体、Scale尺度、Method方法)で構成することです。この構造化されたアプローチにより、同じ検査でも異なる名称や単位で記録されがちな問題を解決し、世界中の医療機関間でデータを正確に交換できるようになりました。

LOINCは大きく2つの分類体系を持ちます。Laboratory LOINCは血液、尿、髄液などの検体を採取して測定する検査を対象とし、化学検査、血液学検査、微生物学検査、血清学検査、尿検査などのカテゴリーに分類されます。一方、Clinical LOINCは検体採取を必要としない患者からの観察を対象とし、バイタルサイン、心電図、画像検査、調査票・評価尺度、臨床文書などが含まれます。

日本では、日本医療情報学会(JAHIS)が中心となってLOINCの普及活動を行っており、臨床検査データ交換規約にLOINCを採用しています。また、FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)JP Core実装ガイドでもLOINCが使用されており、医療機関間のデータ連携や電子カルテの標準化において重要な役割を果たしています。2025年8月にリリースされたLOINC Version 2.81では、108,249の用語が収録されており、日々進化し続けています。