日本の自然保護制度は、複数の法律に基づく多様な保護区が相互に補完し合うことで、豊かな自然環境と生物多様性を守る複合的な体制を形成しています。主要な保護区として、自然公園法に基づく国立公園と国定公園、鳥獣保護管理法に基づく鳥獣保護区、そして自然環境保全法に基づく原生自然環境保全地域と自然環境保全地域があります。
国立公園と国定公園は、自然風景の保護と公衆の利用の調和を図ることを目的としています。国立公園は「我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地」として国が直接指定・管理し、国定公園は「国立公園に準ずる優れた自然の風景地」として都道府県が管理します。いずれも区域内は保護の度合いに応じて特別保護地区から普通地域まで5つのゾーニングが設けられ、適切な保護と利用のバランスが保たれています。
鳥獣保護区は、野生鳥獣の保護を目的とした保護区です。森林鳥獣生息地や集団渡来地、希少鳥獣生息地など、鳥獣の生態に応じた指定区分が設けられ、狩猟の禁止や生息環境の保護が図られています。一方、原生自然環境保全地域は、人の手がほとんど入っていない原生自然を保全するための最も厳格な保護区で、建築物の建設や土地の開発が原則禁止されています。
これらの保護区は重複して指定されることもあり、例えば国立公園内に鳥獣保護区が含まれるケースも少なくありません。このような多層的な保護体制により、日本の貴重な自然環境が次世代に引き継がれています。