概要

睡眠障害

睡眠障害は、十分な睡眠が得られない、日中に過度の眠気が生じる、睡眠中に異常な行動が起こるなど、睡眠に関する様々な問題を指します。国際睡眠障害分類第3版(ICSD-3)では、不眠症、睡眠関連呼吸障害、中枢性過眠症、概日リズム睡眠障害、睡眠時随伴症、睡眠関連運動障害の6つの主要カテゴリーに分類されています。代表的な疾患として不眠症、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなどがあり、適切な診断と治療により症状を改善できることが多い疾患群です。

睡眠障害 不眠症 睡眠時無呼吸症候群 ナルコレプシー 睡眠医学 日本睡眠学会 ICSD-3
コード スラッグ 名称 概要 カテゴリ diagnosis symptoms treatments complications severity types prevalence
ICSD-1 insomnia 不眠症 眠りたいのに眠れない、または睡眠の質が低下する障害です。 不眠症 ["睡眠日誌","ICSD-3診断基準","DSM-5診断基準","週3回以上・3か月以上の症状持続","日中機能障害の確認"] ["入眠困難","中途覚醒","早朝覚醒","熟睡感がない","日中の疲労感","集中力低下"] ["認知行動療法(CBT-I)","オレキシン受容体拮抗薬","睡眠衛生教育","刺激制御法","睡眠制限療法"]
ICSD-2 sleep-apnea-syndrome 睡眠時無呼吸症候群 睡眠中に呼吸が一時的に停止または低下し、低酸素血症を起こす障害です。 睡眠関連呼吸障害 ["ポリソムノグラフィー(PSG)","ホームスリープテスト","AHI測定","Epworth Sleepiness Scale"] ["いびき","呼吸が止まる","夜間頻尿","日中の強い眠気","起床時の頭痛","集中力低下"] ["CPAP療法","経口装具(マウスピース)","体位療法","減量・運動療法","外科的治療"] ["高血圧","不整脈","心不全","糖尿病","認知機能低下"] ["軽症:AHI 5-14","中等症:AHI 15-29","重症:AHI 30以上"] ["閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)","中枢性睡眠時無呼吸(CSA)","混合型"]
ICSD-3 narcolepsy ナルコレプシー 十分な睡眠後も日中に耐え難い眠気が生じる中枢性過眠症です。 中枢性過眠症 ["PSG(夜間ポリグラフ)","MSLT(昼間多次睡眠潜時試験)","脳脊髄液オレキシン濃度","HLA-DQB1*06:02検査"] ["過度の日中眠気","情動脱力発作(笑うと力が抜ける)","入眠時幻覚","睡眠麻痺(金縛り)","予告なしの睡眠発作"] ["覚醒剤(モダフィニル、ソリアンフェタミン)","オレキシン受容体作動薬","抗うつ薬(情動脱力発作用)","計画的な昼寝","規則正しい睡眠習慣"] ["1型:情動脱力発作を伴うナルコレプシー","2型:非情動脱力発作性ナルコレプシー"] 約1/2,000~1/3,000(日本では約4万人の推定患者)
ICSD-4 circadian-rhythm-disorder 概日リズム睡眠・覚醒障害 体内時計と外界の環境がずれて、眠りたい時間に眠れない障害です。 概日リズム睡眠・覚醒障害 ["睡眠相後退症候群","睡眠相前進症候群","不規則睡眠-覚醒リズム障害","非24時間睡眠-覚醒リズム障害","時差ボケ","交代勤務障害"]
ICSD-5 parasomnia 睡眠時随伴症(パラソムニア) 睡眠中や睡眠と覚醒の移行期に異常な行動や体験が起こる障害です。 睡眠時随伴症 ["NREM関連:夢遊病、夜驚症、錯乱性覚醒","REM関連:REM睡眠行動障害、悪夢症、睡眠麻痺"]
ICSD-6 sleep-related-movement-disorder 睡眠関連運動障害 睡眠中や入眠時に単純な運動が反復して起こる障害です。 睡眠関連運動障害 ["レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)","周期性四肢運動障害","睡眠関連歯ぎしり","睡眠関連けいれん"]

睡眠障害は、十分な睡眠が得られない、日中に過度の眠気が生じる、睡眠中に異常な行動をとるなど、睡眠に関する様々な問題を指します。日本睡眠学会が採用する国際睡眠障害分類第3版(ICSD-3)では、睡眠障害を6つの主要カテゴリーに分類しています。

不眠症は、入眠困難、睡眠維持困難、早朝覚醒などの症状が週3回以上、3か月以上続き、日中の機能障害を伴う疾患です。原因としてはストレス、精神疾患、生活リズムの乱れなどが挙げられます。治療は認知行動療法(CBT-I)を第一選択とし、薬物療法としてはオレキシン受容体拮抗薬が推奨されています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が停止または低下し、血中酸素飽和度が低下する疾患です。閉塞性(OSA)が最も多く、いびき、夜間頻尿、日中の強い眠気が特徴です。診断はポリソムノグラフィー(PSG)で行い、AHI(無呼吸低呼吸指数)で重症度を評価します。治療はCPAP療法が第一選択で、高血圧や心疾患などの合併症予防にも重要です。

ナルコレプシーは、十分な睡眠後も日中に耐え難い眠気が生じる中枢性過眠症です。1型は脳内オレキシンニューロンの脱落により発症し、情動脱力発作(笑うと力が抜ける症状)を伴います。診断はPSGとMSLT(昼間多次睡眠潜時試験)で行い、治療は覚醒剤やオレキシン受容体作動薬などを使用します。

これらの睡眠障害は、適切な診断と治療により症状を改善できることが多い疾患です。1か月以上不眠が続いたり、日中の眠気で生活に支障が出たりする場合は、専門医療機関を受診することをお勧めします。